『PAYDAY 2』で有名なスタジオ『Overkill Software』の新作、『OVERKILL’s The Walking Dead』(以下OTWD)のベータテストが先日好評のうちに終了しました。
OTWDは世界中で絶大な人気を誇るコミック及びTVドラマ『The Walking Dead』と同じ世界観を舞台とした4人協力プレイのゾンビサバイバルFPSです。プレイヤーはそれぞれ固有の能力を持つ4人のキャラクター、『Heather(ヘザー)』、『Aidan(エイデン)』、『Grant(グラント)』、『Maya(マヤ)』を操作し、崩壊したワシントンD.C.でゾンビの大群や敵対する派閥からコミュニティを守りつつ発展させていきます。
PC版の発売日は11月7日ですが、10月10日から予約購入者向けのクローズドベータテストを行っていました。ベータテストは本来23日に終了を予定していましたが、最終的に「期間中にウォーカー(ゾンビ)を2000万体討伐する」というコミュニティチャレンジを達成し、29日まで延長されました。ちなみに、25日の時点でウォーカーの討伐数はおよそ5000万体程度と公式配信にて発表されており、コミュニティのゲームに対する熱意が伺えます。
このように『The Walking Dead』のファンやCoopゲームを好むゲーマーたちに期待を寄せられているOTWDですが、その実際のゲームプレイに対する感触はどうだったのでしょうか。ベータテストを80時間ほどプレイした感想を良かった点・気になった点に分けて紹介していこうと思います。
良かった点
物量による恐怖
最近のゾンビゲームですと、有名なのは『Left 4 Dead 2』や『Dying Light』など、「走るゾンビ」を題材にヒットした作品が多かった印象があります。そんな中、本作OTWDは「歩くゾンビ」が出てくるゲームになります。
個々のゾンビは動きが遅く、銃や近接武器を使用して倒すのは非常に簡単でした。しかし、初プレイの結果はミッション失敗。出てきた感想は「無理ゲー」の一言でした。その理由は下のスクリーンショットを見ればわかります。
この圧倒的物量!
これは公式に掲載されていた開発中のスクリーンショットですが、実際のゲーム内でも対処を間違えると本当にこんな感じになります。
特にまだプレイし始めたばかりだとキャラクターの能力や武器が弱いのも相まって、いつの間にか大量のゾンビに囲まれて抵抗虚しく死亡、なんて状況があちこちで見られました。
実際、ベータ初期の頃のミッションのクリア率はNormal難易度で50%以下だったと発表されており、数の恐怖がよくわかります。しかし、この難しさが非常にいい塩梅で、プレイヤーに挑戦する楽しさとクリアした際の達成感を与えていました。
また、ある程度キャラクターが成長してくると集団相手にも多少の無茶ができるようになり、プレイの幅が広がります。
ステルスの失敗 ≠ ミッションの失敗
同スタジオの前作『PAYDAY 2』では、ステルスミッションで敵に発見されると基本的にそのままミッションの失敗につながっていました(最近プレイしていないのでもしかしたら変わっているかもしれませんが)。そのため、高難易度のステルスミッションではプレイヤー同士が互いのミスに腹を立てて衝突するのも珍しくはありませんでした。
その点、本作ではステルスの失敗は必ずしもミッションの失敗には繋がりません。難易度が上昇するのは確かですが、それによりまた別の楽しみ方が見えてくるのもポイントです。
ミッション中は銃声など大きな音をたてることで徐々にゾンビの量と積極性が増していきます。画面上にはゾンビの量などを表す「ホードメーター」が表示されており、これが最大になるとゾンビの量が上で紹介したスクリーンショットのようになります。
この状態になるとミッションの進行が難しくはなるのですが、逆に銃声を気にする必要がなくなり、今度は気ままに銃を撃つことができるようになります。
既にベータテストの終盤あたりでは、難易度Hardで序盤にホードメーターを最大まで上げきってもミッションをクリアすることができました(野良プレイ)。
ステルスが失敗するまでは適度な緊張感が、もし失敗してしまってもその後は銃を撃つ爽快感が楽しめるこのシステムは『PAYDAY 2』から大きく進化している点であると感じました。
キャラクターが強くなる楽しさ
本作では各キャラクターに固有のスキルツリーがあり、ミッションをこなしてレベルを上げることで様々な能力を強化することができます。このスキルツリーによる能力の上昇幅が結構大きく、数レベル上がっただけでもかなり勝手が変わってきます。
大量の敵を足止めできたり、すばやく味方を蘇生することができたり、敵の位置を長時間に渡って補足したり等々、プレイヤーが成熟してきたベータの終盤では、序盤に苦労した敵にも簡単に対処できるようになっていました。
また、武器にもそれぞれ「コンバットレーティング」という強さの指標が設定されており、同じ武器であってもコンバットレーティングが高いほうが威力が高かったり、レアリティが上がって装備できるアタッチメントの量が増えたりといった違いがありました。
武器やアタッチメントはミッションを完了した際にランダムで入手できるため、プレイヤーはより強い武器を手に入れるためにミッションを繰り返しプレイすることになります。この装備の収集がプレイを続けるモチベーションに大きく関わっていると言えるのではないでしょうか。この一連の要素は「ハックアンドスラッシュ」(いわゆるハクスラ)と呼ばれる要素であり、好きな人にとってはたまらない要素ですね。
武器に個別の強さがあったり、ミッションを周回することでより強い武器を手に入れたりと、最近のゲームで言えば3月にリリースされた『Warhammer: Vermintide 2』と非常によく似たシステムです。こちらのゲームで装備を充実させることに楽しみを見出したプレイヤーなら、きっとこのOTWDにもハマるのではないかと思います。
この他にも、自身が所属するキャンプを拡張していくというアップグレード要素もあり、そちらのアップグレードを進めることでもキャラクターが強化されていきます。キャラクターの最大レベルがいくつになるのかは不明ですが、ベータをプレイしてみた感触からすると、最終的にはかなりの強さになるであろうことが予想されます。
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大まかに自身がプレイしていて好感触だった点は以上になります。上に挙げた要素以外でも、自身が所属するコミュニティにいる生存者たちをミッションに派遣したり、それによって生存者たちのレベルを上げるといった要素もあり、全てのやりこみ要素に手を出そうと思うとかなり長い時間遊べるのではないかと感じました。あと、ステルステイクダウンが中々に爽快でしたので1枚。
気になった点
次はベータをプレイした時点で気になった点について触れていきます。もちろん、ベータテストの段階における懸念ですので、製品版では改善されていることも考えられます。その点を予めご了承ください。
マップの少なさ
これに関してはベータのマップ数に関してではなく、製品版におけるマップ数に関する言及になります。
現在、製品版(シーズン1)では10個のストーリーミッションと6個ずつの防衛ミッションと遠征ミッション、計22個のミッションがプレイできることが判明しています。これだけ聞くと「多いじゃん」と思うかもしれませんが、実はいくつかのミッションではマップが同じなのです。
特に防衛・遠征ミッションのマップに関しては全てストーリーミッションのマップの一部を切り取ったものであり、そもそも6個ずつという点にちょっと語弊があるのでは、と思います。実際はそれぞれ2マップ×3つの若干違う目標で構成されており、『PAYDAY 2』をプレイしたことある方になら「Bank Heist」のようなもの、といえば伝わるでしょうか。
実際の例を出しましょう。ベータでもプレイできた遠征ミッション「Samson Bros」ですが、これはストーリーミッション「Listening In」のマップの一部を切り取ったものになります。そして、ミッション目標が「物資回収」、「暗殺」、「救出」と分かれており、これらがそれぞれ別のミッション扱いとなっていました。これで3ミッションということになります。
このようにミッション数は多いものの、実際にプレイするマップは同じものとなっているため、ゲームのボリュームは表記よりも少なく感じてしまうのではないか、と懸念しているわけです。
とは言え、最終的には同じミッションを繰り返しプレイすることになりそうなので、装備の収集をメインとするのならばあまり気にならないのかもしれません。また、無料配信される拡張DLC(シーズン2)ではストーリーミッションが9個追加されるとのことなので、その時点でマップ数の少なさは解消される可能性が高そうです。
高めの値段設定
「ゲーム内容の話じゃないのかよ」とツッコミを頂きそうですが、お値段は大事です。少し上で触れた『Warhammer: Vermintide 2』など、最近話題となったインディーゲームの値段はおよそ2000~3000円程度のものが多いですが、このOTWDは6,290円と若干お高めです。この値段になると「ちょっと気になるから買ってみようかな」とは中々いかないですよね。実際、一緒にプレイした方々に聞いてみても、「周りは値段を理由に買うか迷っている」という意見もチラホラありました。
しかし、上でも少し触れましたが、2019年6月までに配信する予定だという拡張DLC「シーズン2」は無料で提供されるということが判明しています。シーズン2では9個のストーリーミッションや新キャラクター、新武器やアタッチメントが実装されるとのことです。このDLCを含んだ値段だと考えれば、多少値段に対する抵抗感は薄まるやもしれません。
この値段設定がどれだけ販売数に影響を与えるかは定かではありませんが、期待している身としてはこれが原因でプレイヤー数が伸び悩む、といった事態にはなってほしくないところです。
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大きく気になるのは以上の2点です。補足として、細かい点に関しては下記に記します。
- キーバインドができない → これに関しては製品版で可能になるので問題ないです。
- ムービーが飛ばせない → これも恐らく製品版で対処されると思われるのであえて取り上げませんでした。
- ホストが落ちるとミッションが終了する → 公式配信にて製品版ではホストの移行を実装すると発表されました。
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まとめ
一回のミッションの中でステルスと銃撃戦どちらも楽しめる
キャラクターの育成・装備収集が楽しい
他のインディーゲームと比べて値段が高め
長くなりましたが、以上がベータテストをプレイして感じたOTWDの良かった点、気になった点になります。Coopゲームが好きな人、ゾンビが好きな人、ハクスラが好きな人、そして『The Walking Dead』のファンには是非プレイしてもらいたい作品です。
『OVERKILL’s The Walking Dead』は11月7日に発売予定で、価格は通常版が6,290円になります。2019年2月には日本語を含むPS4・XBOX版も発売予定で、同年6月までには大型無料DLCが配信される予定です。現在Steamで予約購入をすることで、特典として限定のキャラクタースキンを入手することができます。
日本語の攻略情報をまとめたWikiもありますので、詳しいミッションの内容や特典について知りたい方はこちらからどうぞ。
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